【 訴状の書き方,読み方 】

2006628日更新)

このページに直接来られた方, 「疾病偽装、医療偽装、安全安心偽装ストーキング情報サイト」(AGSAS をご覧いただけると幸いです。

このページでは,民事訴訟における訴状の書き方,読み方について記載します。

書き方に関する部分には(書き方),読み方に関する部分には(読み方)という見出しを付けています。

訴状の内容を理解するだけの場合には,(読み方)と書いてある部分だけを拾い読みしてください。

 

 

【 訴状の書き方,読み方 】

 

 以下の解説につきましては訴状(PDF/HTML)をご覧になりながらお読みいただくとわかりやすいかと思います。また,複数の書式例があるとご参考になるかと思いますので,関連事件の訴状(PDF),控訴理由書(PDF),上告理由書(PDF)も必要に応じてご参照ください。

 

 

インデックス

書式提出部数表題日付あて先訴訟物の価格及び貼用印紙額

正本か副本かの表示必須事項当事者及び法定代理人

「請求の趣旨」と「請求の原因」証拠方法綴じかた提出時に必要な手続き

訴状を提出したら

 

1 書式 (書き方)

はじめに,今読まれている文章が,普段読んでいる日本語の文章と違うのがお分かりになるでしょうか。句読点が「、」ではなく,「,」(全角のコンマ)になっています。普段目にする文章と裁判文書で違うのはこの点です。これは法律で決められているわけではありませんが,これが決まりです。

次に,用紙と書式ですが,これにも決まりがあります。これは,裁判所が管理しやすく,裁判をスムーズに進行させるために必要な決まりですので,しっかり準拠したほうが良いでしょう。ワープロソフトを利用する場合には,書式設定を行っておけばいつでも利用できます。用紙はA4横書き,余白は上端35mm,下端27mm,左端30mm,右端15mm,文字サイズは12ポイント,1行あたりの字数は37文字,1枚あたりの行数は26行です。

それから,右下にページ番号と総ページ数(例:1/1)を入れます。以前は書面が複数枚になる場合には割印を押していたようですが,ページ番号と総ページ数が入っていれば割印は必要ありません。尚,私の書いた訴状で使用したフォントはMSゴシック(12ポイント)です。

最後に,段落番号についてです。段落番号の付け方にも一応の決まりがあり,以下の通りです。

 

 

第一 第二 第三…

1 2 3

1) (2) (3)…

ア イ ウ…

(ア) (イ) (ウ)…

 

 

項目が少ない場合には,「1 2 3」のレベルからはじめることもあります。私の書いた訴状(PDF/HTML)では,「1 2 3」のレベルからはじめています。

 

2 提出部数 (書き方)

用意すべき訴状の部数は,「被告の数+2」です。被告にはそれぞれ裁判所から訴状が送られますので,被告の人数分の部数は必要で,「+2」は裁判所と原告の分です。裁判所の分には訴状の右上の見やすい部分に「正本」と記し,その他の訴状には「副本」と記します。色は特に決まりがありませんが,私は少し太めの赤のボールペンで記載しました。画像はこちら(JPEGイメージ)。「正本」「副本」のスタンプも市販されていますが,手書きでも問題ありません。今後提出する準備書面についても,提出部数,「正本」「副本」の記載ともに同様となります。

尚,複数の被告に共通の代理人(弁護士)がついた場合には,それ以降,提出書面の部数は「被告代理人の数+2」となります。私の民事訴訟第一弾でも,被告は3人で,訴状提出の段階で必要な部数は「被告の数(3+2」で5部でしたが,被告Aと被告Bに共通の代理人がつき,被告Cには別の代理人がつきましたので,それ以降の準備書面提出部数は,「相手側代理人の数(2+2」で4部となりました。

 

3 表題 (書き方)

表題は,「訴状」とします。以降,実際の訴状(PDF/HTML)でご確認ください。

 

4 日付 (書き方)

日付は,訴えを提起する日付(裁判所に提出する日付)を明記します。必ずその日に提出できるかどうか不明な場合には,日の部分を空白にしておいて印刷し,提出時に記載すると良いでしょう。月末の場合には,月の部分も空白にしておいたほうがよいです。

 

5   あて先の裁判所と部署名 (書き方)(読み方)

訴状にはその提出先裁判所を明記しますが,裁判所には管轄の決まりがありますので,あらかじめ自分が提起する訴えの管轄裁判所を特定する必要があります。原則としては,訴えられる側(被告側)の所在地を管轄する裁判所に訴えを提起することになりますが,相手方(被告)の不法行為を訴える場合には,不法行為の行われた地の管轄裁判所に訴えを提起することが出来ます。私の民事訴訟第一弾は,症状の捏造による不法拉致監禁及び不法強制入院であり,これが東京都内で行われましたので,被告の所在地に関わらず,東京地方裁判所に訴えることが出来ます。尚,訴額(被告に対する請求を金額に換算したその額)が140万円以下の場合には,管轄が簡易裁判所になります。

管轄の裁判所がわかりましたら,次は部署ですが,部署は訴状提出後に決まります(例えば,私の場合は民事25部)ので,訴状の提出段階では,訴状(PDF/HTML)のように,「東京地方裁判所民事部 御中」のように表記します。

 

6 訴訟物の価格及び貼用印紙額(手数料)(書き方)(読み方)

訴訟物の価格(訴額)とは,原告の請求を金銭に置き換えた金額です。金銭のみを請求する場合にはそのままの額ですが,被告に何らかの行為を請求する場合や,物品を請求する場合等には,金銭に置き換えることが困難になります。その場合には,金額はとりあえず書かずにおいて,裁判所に訴状を提出する際に,訴額の確定をお願いしましょう。訴額が決まらないと貼用印紙額(手数料)も決まりませんので,後日訴額の確定があった後で,収入印紙(手数料)を納付することになります。尚,インターネット上に印紙額計算ツールもあります(例えばこちら)ので,おおよその手数料は予め計算できます。ただ,最終的には裁判所に確定していただいたほうが無難でしょう。

 

7 正本か副本かの表示 (書き方)

2提出部数」の項をご参照ください。

 

8 必須事項 (書き方)

民事訴訟法で決められた訴状の必須事項は,

 

一  当事者及び法定代理人

二  請求の趣旨及び原因

 

の2項目です(民事訴訟法133条)。しかし,これをどのように,どこまで書いたらよいのかまでについては,詳しい規定はありませんし,いざ訴状を書くとなると,それ以外の項目,例えば提出先の裁判所名はどう書くのか,訴額や予納郵券の金額はどう書くのか等についても考える必要があります。以下,必須事項について記します。

 

9 当事者及び法定代理人 (書き方)(読み方)

当事者とは,訴える人(原告)と訴えられた人(被告)であり,法定代理人とは当事者の代理で訴訟を行う人(弁護士など)のことです。これをどのように記載するかは訴状(PDF/HTML)をご覧ください。必要な項目は,原告なのか被告なのかという表記,それからそれぞれの人の住所(郵便番号から書きます),氏名,電話番号を表記し,ファクシミリがあればファクシミリ番号も表記します。代理人(弁護士)が代理で訴訟を行う場合にも,当事者の表記は行い,その次に「原告代理人」または「被告代理人」として弁護士の表記を行います。当事者が法人(会社や病院など)の場合にはその法人の正式名称(登記簿謄本にある名称)を表記し,代表者の氏名を「(代表者)」と明記した後に表記します。さらに当事者が法人の場合には,その法人及び代表者が正しいことを証明するために,登記簿謄本を添付する必要があります。登記簿謄本はその法人の所在地を管轄する登記所に申請すれば誰でも取得出来ますし,インターネットで手続き可能な登記簿謄本取得サービス(有料)もあり,翌日には配達してもらえますので,登記所が遠い場合等には便利です。私はこちらのサービスを利用しました。

 

10 「請求の趣旨」と「請求の原因」 (書き方)(読み方)

原告の言い分は,「請求の趣旨」と「請求の原因」に分割して記載します。言い換えれば,「請求内容」と「請求する理由」になります。

「請求の趣旨」とは,原告が被告(相手側)に何を請求するのか,その請求内容だけを,「被告は,原告に対し○○せよ。」という表現で簡潔に書く項目になります。例えば,金銭を請求する場合,「被告は,原告に対し,金100万円及びこれに対する平成1851日から支払い済みまで年5分の割合による金員を払え。」といった文章になります。請求内容が何なのかがはっきりと裁判所に分かるように書く,ということになります。

そして「請求の原因」とは,何故そのような請求が可能なのか,その理由を,裁判所(裁判官)を説得できるように書く項目になります。裁判は,裁判所がこの「請求の原因」として主張された理由が,「請求の趣旨」で書かれた請求を認めるだけの理由があるかどうかを判断する過程になります。過去の判決文にも,「〜であるから〜の請求には理由がある」または「〜であるから〜の請求には理由がない」といった文面が多くみられます。「請求の趣旨」全てに理由があると裁判所に認められれば,判決文の主文は「請求の趣旨」と同一となります。私の書いた訴状(PDF/HTML)でも,「請求の趣旨」と「請求の原因」が分けて書かれていることが分かると思います。

 

11 証拠方法(書き方)(読み方)

一昔前は,相手方の出方を伺いつつ,順次証拠を提出する戦術が取られることが多かったようですが,これでは何時までたっても裁判の終わらないことがありえます。近年では迅速な裁判の要請に応え,ある程度の証拠は予め提出するという方式が取られています。従いまして,訴状にもどのような証拠を予め提出するかを記載します。訴状の最後に「証拠方法」という見出しを設け,その証拠が何であるかと,何を証明するものなのかを記載します。訴状(PDF/HTML)ご参照ください。証拠が多い場合や,後日複数の証拠を提出する場合等は,「証拠目録」と題した準備書面を別途用意し,証拠の一覧を記載して提出すると,裁判所にもわかりやすくなります。

証拠には番号を振ります。自分が原告の場合には,甲1号章,甲2号章・・・と番号を振ります。被告側は乙1号章,乙2号章・・・となり,当事者が複数いて区別するばあいには,甲乙丙丁・・・と頭の漢字が変わります。書証(契約書,領収書,診断書など)の場合には,コピー(カラーコピーが良いでしょう)を作成し,右上の見やすい部分に「甲1号章」というように番号を記載します。私は少し太めの赤のボールペンで記載しました。書面ではなく録音テープ等の場合には,ラベルに証拠番号を記載すれば大丈夫です。

証拠で気をつけなければならないのは,それが原本であるかコピーであるかを裁判所に説明できるようにしておくことです。書証の場合,コピーには謄本と抄本の2種類があります。謄本とは,原本の全文面を書式も含めそのままそっくりコピーした書面で,抄本とは原本の1部分をコピーした書面になります。例えば,提出する際に,「これは謄本です。」と言えばそれで大丈夫です。謄本や抄本を提出した場合には,裁判所から原本の提出や確認を求められることもありますので,原本は大切に保管しておきましょう。傍聴していると,弁護士の方が「○○を証明するため,△△を甲X号証として提出します。これは謄本になります。」などと言う事があります。また,裁判所から「これは原本ですか?」と聞かれていることもあります。

証拠は,裁判所を説得する材料です。つまり,「請求の原因」で主張する事実を,裁判所に認めていただくための材料ということになります。裁判所が当事者の主張する事実を認定するかどうかという問題を事実認定といいますが,どの程度の証明があれば事実として認定されるかという問題があります。判例からしますと,裁判所は,事実と認定する証明の度合を,「通常人が疑を差し挟まない程度の真実性の確信を持ちうるものであることを必要とし,かつ,それで足りる」としています。この事実認定についてだけでも専門書が何冊もある世界ですが,基準が「通常人」ですから,「○○であれば△△であろう。」と誰もがそう考えるだろうという基準になり,否定できない事実や,経験則が重視されるということになります。

もうひとつ,証拠が証拠として成立するかという問題があります。これは主に,その証拠が本物かどうかという問題で,被告側がその証拠を認めるかどうかという問題です。しかし最終的に判断するのは裁判所ですから,先ほど述べた判断基準が有効であることは言うまでもありません。

尚,第何回の期日に,どのような証拠が,どちら側から提出され,相手側の認否はどうか,といった記録は裁判所にありますので,問い合わせることができます。もちろん,自分自身でわかっていなければならない情報ですが,裁判所の認識と同じであるという確認は大切でしょう。

 

12 綴じかた(書き方)

裁判所では訴状と書証を分けて保管しますので,訴状と書証(証拠書類)は別々に綴じます。先ずは訴状を,「被告の数+2」部数用意し,1部ずつ,左側をホチキスで2箇所とめます。「正本」「副本」の記載も忘れずに。

次に書証ですが,訴状と同じように,「被告の数+2」部数用意し,1部ずつまとめます。ホチキスでとめるかクリップではさむかは自由ですが,裁判所から見てわかりやすいようにまとめましょう。証拠番号(甲1号章,甲2号章・・・)が訴状の記載とあっているかどうか確認します。書証以外の証拠を提出する場合には,これも数として「被告の数+2」を用意し,裁判所から見てわかるように番号を振ります。

「被告の数+2」の訴状セットが出来上がりましたら,直接民事受付に提出するか,郵送します。本人訴訟の場合には,直接お伺いして手落ちが無いかどうか確認していただくのがよいと思います。訴状の記載日付を空けておいた場合には,提出時(または郵送前)に記載することを忘れないようにしてください。

 

13 提出時に必要な手続き(書き方)

訴状の記載日付を空けておいた場合には,提出時に記載することを忘れないようにしてください。提出時に事件番号が発行され,覚書の紙が渡されます。事件番号は今後の裁判所とのやりとりにおいて重要な番号ですので,記録するとともに記憶します。

訴状提出に際しては,予納郵券(裁判所が書面を被告に送達するための切手)の納付も必要です。東京地方裁判所の地下1階に郵便局がありますので,そちらで郵便切手の購入が出来ます。予納郵券の金額は,被告の数によって変わります。被告が1人の場合には6,400円,被告が2人以上の場合には,2人目以降の被告分につき,2,080円が加算されます。郵便切手の内訳(500円切手が8組,270円切手が2組・・・といった内訳)は,民事受付の係りの方より組み合わせの記載された覚書をもらうことができますので,そのまま郵便局の方にお見せすれば購入できます。

また,「訴訟進行に関する照会書」という書面の記入を求められますので,その場で記入するか,後日早急に記入して提出します。この書面の内容は,被告に対する書面の送達が可能かどうか,被告との事前交渉があるかどうか,及び和解の可能性はどうかの記入欄と,訴訟進行に関する希望を記入する自由欄になります。自由欄以外はチェックボックス式になっています。

 

14 訴状を提出したら

民事訴訟(本人訴訟)手続きの概要(第一審)」をご参照ください。

実際の民事訴訟記録については,「民事訴訟(本人訴訟)第一弾の経過をお知らせするページ」をご参照ください。

 

 

本書の利用について

本書の商用利用を禁じます。商用利用以外の目的における配布は形態を問わず自由ですが,本書の一部を転記する場合には,転記の形態を問わず,著作権表示とともに本書が出典であることを明記してください。なお,本書の利用により生じた損害は,いかなるかたちにおいても補償いたしません。

その他本書についてのご意見,ご要望,お問い合わせ等は,ユーザー名qqnn4cfp9,ドメインjuno.ocn.ne.jpのメールアドレス宛にお願いいたします。アットマーク(@)でつなげるとメールアドレスになります。なお,年間4万から5万通前後の迷惑メールがくる状態もあり,返信の保証は致しかねます。ご了承ください

 

 

ご支援・ご協力について

本コンテントは,AGSASサイトの一部です。2005年のサイト開設以来,調査,コンテンツ作成等を自費でまかない,ご支援のお申し出があるたびにお断りさせていただいてきたのですが,ここ数年,生活妨害がひどくなる一方の状況を鑑み,ご支援のお願いを掲載するに至りました。

つきましては,サイトの内容が有用であったとお考えの方,また,管理人の活動をご支援いただける方におかれましては,下記口座までお好きな金額をお振込みいただけますと幸いです。

三井住友銀行 渋谷支店(654) 普通口座 5073008 名義 トサキ タカヒロ

昨今は振込に対しご不安をお持ちの方もいらっしゃると思います。その際には,管理人が入金確認をいたしますので,前記メールアドレスまで,件名を「要入金確認」とし,振込人様のお名前と金額をお伝えいただければ,入金確認後に折り返しメールさせていただきます。ただし,前記の通り年間4万から5万通前後の迷惑メールがくる状態ですので,誠に申し訳ございませんが,入金確認は金額が1,000円以上の場合のみとさせていただきたく,ご理解の程お願い申し上げます。

なお,ご意見やご要望とは異なり,ご入金を理由にサイトの方針,活動内容やコンテンツの内容を変更することはいたしません。ご了承願います。

2014629

戸ア 貴裕

 このページに直接来られた方, 「疾病偽装、医療偽装、安全安心偽装ストーキング情報サイト」(AGSAS をご覧いただけると幸いです。